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国語力を付けよう

要約のススメ①
 よく「国語ができないんです。」という声を耳にします。
一言で国語といっても「漢字」「文法」「読解」「古典」などさまざまです。
しかし、全て日本語で書かれている点は共通ですし、
普段見たり、聞いたり、話したりしている言語ですので、できないはずはないのです。
ただ、試験の問題になるときちんと文の構造や要点を捉えていないと正解はもらえません。
 そこで、今月と来月の二回にわたって「国語力をつけよう」というテーマで書きたいと思います。
 国語の試験で最も配点が高いのが読解問題です。
解く時間が掛かるのも読解問題です。
ということは長文の内容をいかに早く的確に読み取るかがポイントになります。
そのための手段として「速読」という方法もありますが、
その技術を習得するのはかなり大変ですので、今回は手軽にできる「要約」をご紹介します。
 まずは、要約をする前にウォーミングアップです。
 例えば、架空の新聞記事があったとします。
字数はおよそ七00文字。
これを一分で要約しようというのですが、どうですか? 
読むのだって一分ではできない字数ですよね。
ということは「読まないで要約してしまう?」そのとおりです。
結論からいきましょう。
『見出し』これが、要約しようとする文章を最も的確に簡潔にまとめたものです。
新聞記事には簡単な「見出し」がついています。
それを読めばその記事の内容はおおよそ理解できます。
雑誌の表紙や、小説の帯にも見出しが書いてあり、
その出来によって売り上げが変化すると言われるくらい見出しが重要視されています。
 国語の教科に即していえば論説文などは、そもそも、ある「結論(テーマ)」があり、
それを読み手に伝えるためにかかれたものです。 
 先ほどの架空の記事の場合、ポイントは見出しのとおりです。
実際に新聞でも雑誌でも記事を読んでみればわかりますが、
中身に書かれていることは見出しの内容を具体的に説明している場合がほとんどです。
「見出し:要約→本文:具体的内容」そう書かれているに過ぎないのです。
実際に、学者が書く専門的な論文には「サマリー(要約)」がつけられるのが決まりです。
論文の読み手である専門の学者も、このサマリー(要約)を手がかりに読み進むのです。
 さて、究極の要約は先ほど述べたとおりですが、
教科書やテスト、入試に出る論説文にはこんな都合のよい「見出し」はついていません。
そこで、もう一工夫して、要約にいたる道筋をつけてみましょう。
 まず、ポイントは「タイトル」です。
これに重要なことがはっきりと記されていることが多いものです。
例えば書店に行く。『たまねぎパワーで健康力アップ』という本があるとします。
何が書かれているか。「たまねぎ食べろ、体にいいぞ、以上」ですね。
論説文の多くはこうなっているのです。
 次に、重要なことが書かれている箇所を優先的にチェックします。それにはある決まりがあります。
 第一に最後の段落
 第二に最初の段落
この2か所が圧倒的に重要です。論説文の多くにははっきりとした「構造」があるのです。
結論~具体例~結論、です。
大切な「具」が、両側にあるので、これを《逆サンドイッチ形式》と呼ぶことにしましょう。
はじめと終わりの二つの段落を読めば、たいていは、何が言いたいのかわかってしまうのです。
例として、ミニ論説文を書いてみましょう。
 「人間:水から上ったほ乳類」
 人類の先祖は水中で暮らしていた。
 第一に、ほ乳類で、指の間に「水かき」のあとがあるのは人間だけだ。
 次に、あごの両脇に「エラ」のあとも認められる。
 さらに、太古の人骨は、たいてい水辺から出土するものである。
 以上から、人類は水中の生物から進化したといって間違いない。
 中身が正しいかどうかはおいておいて、このようなものが長くなったものが、
みなさんが出会う文章の正体なのです。
 つまり、そこを中心にまとめていけばいいわけです。
要約、思ったより簡単かもしれません。
 なお、全ての文章が《逆サンドイッチ》になっているわけでありません。
次に多い形式は、最終段落だけに結論が書かれているものです。
先のミニ論説文の第一段落を
「人類はどこからやってきたのかについて、私は新しい説を持っている。順に説明しよう」
などと置き換えたものです。
また、最初にだけ結論が書かれているものもありますが、入試ではあまり多くありません。
 
 文章全体を段落に分けた場合のつかみ方を書きました。
次は段落の中です。
実は、一つ一つの段落も、多くの場合《逆サンドイッチ》や最後に要点がおかれる形式なのです。
さっきのミニ論説文が一つの段落で書かれているのをイメージしてください。
 だから、ある段落のポイントも、最後の文、最初の文、の順で読めば、さらりとつかめるものなのです。
要約、あんがいかんたんに思えてきたでしょう?
段落の次は「文」です。ある句点(「。」マルです)から次の句点までを「一文」と決めています。
文の重要なパーツは「主語と述語」です。主語の場所は、文の一番初めにあるのがわかりやすい形です。
述語は、よほどの例外でないかぎり文の最後と決まっています。
もう一つ例文を見てみましょう。
 
 《私は》空腹でたまらず、大勢の人が見ているのも気にせず、
和彦に向かって「そのパンを分けてくれ、たのむ!」とかみつくように《叫んだ》。
この例文では《 》が主語と述語です。
この文の構造も《逆サンドイッチ》になっています。
特に大切なのが最後が述語です。一文では述語が一番大切です。
 例えば、「私は眠りたい。」
この文の主語「私は」だけでは、まったく意味が伝わりませんが、
述語の「眠りたい」だけなら言いたいことはわかります。
どうしても消すことができない述語が最も大切な部品ということになります。
 長い一冊の本や論文全体、また段落や一文も、同じような構造でできています。
これをわかった上で、文章を見ることに慣れれば、本当に要約はあっという間です。
 次回は、具体的な要約の方法をご紹介します。

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