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秋田県に学べ

今年も塾業界にとっては過酷な時期を迎えている。
受験シーズン真っ只中である。毎年の事ながら、非常に神経を使う時期である。
速くも合格を勝ち取った者には賞賛の言葉を掛けてあげたいが、
その横には残念な結果に終わった者もいる。
また、入試本番を控えた者もいる。
様々な結果を背負い巣立っていく生徒たちにエールを送りたい。
 さて、今月は先月に引き続き一昨年から実施されている「全国学力調査」についてである。
三重県は残念ながら下位に低迷しているが、上位県と何がどのように違うのだろうか。 
 では、成績の良かった県はどこだったのか。
これは報道でご存じのことと思うが、秋田県や福井県である。
これらの県は他県とどこが違うのか。
 まず挙げられるのが地理的な条件である。
上位県には先の秋田県や福井県の他に青森・石川・富山など冬の気候条件が厳しい県が多い。
すると必然的に冬季の外出が少なく、その分家庭での学習時間も確保されるのではと想像できる。
また、秋田や福井に関しては学校教育において早期に少人数制のクラス編成や
習熟度別クラス授業を導入した点も挙げられる。
現在では三重県でもこのような授業体制にはなっているが、
先駆者に追いつくのはもう少し先なのであろう。
 2年連続のトップに輝いた秋田県教育委員会には全国から視察の希望が相次いでいるという。
では、秋田の教育に関する実態はどうなのだろうか。
いろいろ調べてみると次のようなことがわかってきた。
 一昨年に調査が再開される前の調査(約45年前)で秋田県は全ての教科で平均以下だった。
そこで県教委が行動を起こした。
1つの授業に2人以上の先生が入って指導するチームティーチング(TT)は
44年以上前から行われていたし、
2001年には少人数制や習熟度・課題別クラス授業を導入したりと公教育の充実が見られた。
 また、学校では教科書を使わずに授業をすることも多いという。
「教科書には既に解答が載っているから子供たちは考える前に解答を知ってしまう。
これでは子供たちが考えようとしない。教科書は家庭で学習すれば良い。」との考え方からだ。
確かにそうだが、家庭学習の定着が最も難しい課題と思われるが、
そこに秋田の学力トップの「秘策」があるようだ。
 その秘策とは「家庭学習ノート」である。
これは内容の決まった強制的な宿題とは違い、
各自が家庭で何をどれだけ学習してもよいが、必ず毎日提出するというものだ。
提出されたノートに担任が毎日コメントを書いて返却する。
そのコメントが子供にとっては「先生に認められた」という自信になり、継続につながるそうだ。
さらにその秘策をサポートするのが、親の存在だという。
母親のみならず、父親が子供の勉強を見るそうだ。
別にわからないところを教えるのではない。
子供がその日にやるべき所を指南したり、机に向かわせたりする、
言わばチューター的存在なのだそうだ。
 子供が今何を学習していてどの程度まで理解しているのかを知ることが
子供の学力向上の第一歩かもしれない。

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