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国語攻略法 「図を描け!」

6月号の「歴史編」につづいての「国語編」です。
今回は、ふだん学校での定期テスト用というより、実力テストや模擬試験または入試など、はじめて見る文章についての問題を解く場合の方法です。
まずは小説(または物語)。小説文で問われることの多くは「登場人物の心情」です。ポイントは登場人物の関係です。そこで、テストのはじめにやっておきたいポイントがあります。それは、「前書き」を丁寧に読むことです。テストの小説「本文」には、たいてい、あらすじや登場人物についてかんたんにまとめた「前書き」が書かれています。長い小説の一部分にすぎないテスト問題は、大事な場面にいきなり進むため、「前書き」には、ストーリーを追うためのとても重要な知識が凝縮してあります。そこで、ただ読むだけではなく、
「図に描く」のです。少し練習してみましょう。
次の文章は、公立高校入試問題の小説『海で見つけたこと』の前書きです。
{ある夏、小学校五年生の「わたし」は弟の「よしひろ」と、夏音(なつのね)というところにある祖母(「ばあちゃん」)の家で過ごしていた。「ばあちゃん」は、八十歳になった今でも海女(あま:海に潜って貝や海藻などをとる仕事をする女性)として働いている。}
これをテスト用紙のすみのどこかに図にしておくのです。たとえばこんな感じ。
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描き方に決まりはありません。自分がわかりやすい図にすればよいのです。実力テストでも入試でも、はじめて見る文章です。しっかり読まないと人物の関係がわからなくなってしまいます。話が進んで、感情が変化したり、新しい人物が途中で加わったりします。そここそポイントです。そのたびに書き加えましょう。
小説の本文はここに出しませんが、こんなことがある、と想像しながら見ていてください。
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このようなメモがあると、問題の最後まで迷うことなく進めることができます。特別な練習はいりません。さっそく試してください。
さて、次に論説文(または説明文)です。「困ったら図解」作戦を身につければ、かなり難しい問題でもすっきりと解けてしまいます。次の例は私立の難関校の入試問題です。文章も、高校生でも手を焼くようなものです。
入試の「最後の設問」にかかわる、最後の段落の、最後の文を読んでみましょう。
{こうして、全地球的におおいつくされた巨大な物質文明の中に、今までのあらゆる文化がのみこまれていくことになる。}

このような難しい文にも、急所はあります。それは「述語」です。そこで、述語の部分「述部」をマルでもつけて描いてみましょう。
「のみこまれていくことになる」――めんどうなので「のみこまれる」でOK。
では、これに対応する主語「主部」を探します。何がのみこまれるのか、ですね。「文化」です。文化がのみこまれる。そうすると「文化は何にのみこまれるの?」という問いが生まれますね。探しましょう。見つかりましたか? 「物質文明」です。ということは、この文で書かれていることを思い切りかんたんにまとめると、次の図のように「物質文明が文化をのみこむ」となります。図は自由ですが、イメージは合っていました?
2-3.jpg
先ほどの続きの一文を見てみましょう。
{こうして、全地球的におおいつくされた巨大な物質文明の中に、今までのあらゆる文化がのみこまれていくことになる。}
と続いていたわけですが、文のはじまりは「こうして」です。「これ」「それ」「あれ」「こう」「そう」「ああ」などを「指示語」といいます。この語が指示しているのは、そこの前に書かれています。特に「これ」「こう」は、直前です。ですから、すぐ前の文を見ましょう。
{世界の合一化とはそのことにほかならない。}
また「そのこと」という指示語がでてきました。。そこで、もう一つ前の文までもどって、最後の三つの文をまとめて示します。
{二十世紀以来のことではあるが、二十一世紀は、均一化された文明がこの地球をつつんでしまうことになるであろう。世界の合一化とはそのことにほかならない。こうして、全地球的におおいつくされた巨大な物質文明の中に、今までのあらゆる文化がのみこまれていくことになる。}
順番に図にします。
①「文明」が「地球」を「つつむ」
②「世界の合一化」とは「そのこと…文明が地球をつつむ」に「ほかならない(イコール)」
③「文明」が「文化」をのみこむ
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さあ、どうですか。難しそうな文章ですが、実は、同じようなことを3回くりかえしているだけ、ということに気づかされますね。この図のイメージをきちんとつかんでおけば、難関入試の難問も、解けてしまいます。
では、この入試問題のヤマ場、[問5]です。ある入試問題集では[難問]マークがしっかりつけられていました。では、どうぞ。
[問5]筆者の本文で述べている内容と一致するものを、次の中から一つ選びなさい。

ア 現代では、地域に根ざす文化的な差や多様性が、個性的な生き方をしっかりあらわしている。
イ 現代では、均一化、標準化の大きな力によって、諸文化の独自性や多様性が失われている。
ウ 現代では、空間が均質化したとはいえ、時間については、地域の伝統的な暦が日常生活を支配している。
エ 現代では、伝統的な文化や生活様式が、巨大な力となって世界標準の形成をじゃましている。
難しい文章ではありましたが、どうでしたか? 正解はイです。意外にすんなり解けたのではないでしょうか。先ほど書いた図を手がかりに選択肢を読めば、それほど難しくなかったのではありませんか。複雑で難しいものも、分解・整理して、図解化すれば解決する――おぼえておいてください。

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